龍虎彫墨壷 巳沙夫 作
¥ 260,000 税込
商品コード: nw023
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彫刻墨壷の最高峰と呼ばれる名工・巳沙夫の名品です。 これはもう道具と云うよりも芸術品の域に到達しています。
巳沙夫師の本名は小山操(みさお)といい、新潟県三条の墨壷の名工です。
巳沙夫師は三条の墨壷職人の中では異例の経歴の持ち主でもあります。
と申しますのは墨壷職人は、源氏型もしくは若葉型と称する実用的な、彫刻のない墨壷の製作を何年か修行します。
そうして墨壷の基本的な流麗な形が頭に入り、実際に造れるようになって初めて、亀から始めて鶴亀、鯉、龍などの難しい彫刻を練習してゆくのが通例です。
しかし巳沙夫師の場合はその逆の経歴です。
巳沙夫師は最初、三条市に三代続く彫刻家の銘門である半藤逸我師に弟子入りし、彫刻の技法を習得しましたが、戦後の混乱期に彫刻の仕事が激減します。
元々墨壷というものに惹かれ親しんでいた師は、それを機に彫刻墨壷の世界に入られたわけです。
そういう経歴の持ち主なので、仕上げは彫り屑などを一切残さない完璧さです。
粘土による彫塑技法を習得されていたので、まず粘土で彫刻墨壷の原型を造りバランスを検討した後、木彫に移る周到さでしたから、出来あがった作品はデッサンに狂いのないものに仕上がっています。
巳沙夫という銘は個人的な注文で製作する場合に切ったもので、金物問屋に納める場合は「坪一刀」という別銘があります。
三条市の墨壷職人では「一文字正兼」がつとに知られていますが、巳沙夫師も彼と並ぶ彫刻墨壷の最高峰の双璧です。
巳沙夫師の作品は群を抜いていましたので、墨壷好きの主人がいる金物問屋、小売店でほとんど流通が留り、一般の店頭に供されることが極端に少ないです。
そのため幻の墨壷職人という異名もあるほどです。
今回出品させて頂きます作品は故・巳沙夫師が30年前に造られた名品です。
墨池の周りには宝珠を掴む阿形の龍が雲と浪の中に彫られ、龍の火炎も表現されています。
糸車下の透かし部分には吽形の龍、反対面には竹に虎が精緻に彫られています。
各々の目には黒檀が象嵌されていますので消えることはありません。
お品の状態は大事に保管されていたもので疵一つない完品です。
一期一会の作品ですのでこの機会をお見逃しなく。
サイズ・全長26㎝ 幅11㎝ 高さ9.8㎝ 材質・欅(けやき)